皆さん、こんにちは。管理人のまっしーです。
今回は、吹奏楽コンクールで「大ブーム」が起きていると言っても過言ではない人気曲『ブリュッセル・レクイエム』(A Brussels Requiem)をご紹介します。

2019年の吹奏楽コンクールでは、多くの楽団が『ブリュッセル・レクイエム』を自由曲で演奏したよね。

そうね。まさに大ブームだったわね。ねえ、まっしー、この曲はなぜこれほどまでに人気があるのか解説をお願いね!
はい。気になりますよね。僕も気になります。
《解説》『ブリュッセル・レクイエム』とは
『ブリュッセル・レクイエム』は、ベルギーの作曲家ベルト・アッペルモント (Bert Appermont) によって2016年に作曲された楽曲です。
テロの犠牲者を悼む鎮魂歌
この曲は、2016年3月にベルギーの首都ブリュッセルで発生した連続爆破テロの犠牲者を悼む鎮魂歌(レクイエム)として作曲されました。

確か、まっしーは、2016年3月当時、ブリュッセルに滞在していたよね?
はい。偶然なのですが、テロが起きる直前までブリュッセルを旅していて、ニアミスで難を逃れました。

そういえば、まっしーは、フランスでもテロに遭遇しそうになっていたわよね。
そうなんです。これも全くの偶然なのですが、パリに行く直前に同時多発テロが起こり、その時も難を逃れました。
そんな経緯もあって、もともとこのレクイエムに関心があり、最近の日本でのブームも興味深く見ていました。
根底に流れるフランスの童謡
ところで、この曲はベルギーの曲なのに、フランスの童謡『月の光に(Au Clair de la Lune)』の主題が使われています。
ベルギーとフランスは、国境を接した隣国同士で、ブリュッセル=パリ間は高速鉄道でたったの80分という近さです。それに、ブリュッセルの市民の9割がフランス語を話すことを考えると、ベルギーの曲にフランスの童謡が使われるのも分かる気がしますよね。
原曲は英国式ブラスバンド曲
この曲は、もともと英国式ブラスバンド(金管バンド)のために書かれた曲です。また、吹奏楽版は、作曲者自身によって編曲されたものです。
いずれの版も、演奏時間は16分前後の比較的長い曲です。
したがって、吹奏楽コンクールの自由曲として演奏する場合は、制限時間の制約上、必ずカットを行って演奏することになります。このため、コンクールではカットの仕方も重要な要素となります。
音源は、後ほどご紹介します。
《気になる噂》コンクールで金賞を取りやすい曲って本当?
「ブリュッセル・レクイエムは金賞を取りやすい自由曲」という話を耳にします。
しかし、これはおそらく「No」だと思います。
「この曲を採用したから金賞が取れた」のではなくて、 あくまで「もともと金賞を取る実力のあった楽団がこの曲を採用した」と見るべきでしょう。
とはいえ、次のようなデータを見ると、「金賞を取りやすい自由曲」と思ってしまうのも分かります。ちょっと次のデータをご覧ください。
[データ①] 2018年吹奏楽コンクール
[データ②] 2019年吹奏楽コンクール

2019年の急激な人気ぶりがよく分かるデータだよね。それに、県大会で演奏した団体の7割が支部大会に進出するというのも凄いよね。

そうね。今後もしばらくこの人気が続くかもしれないね。
音源のご紹介
それでは、ここで2種類の演奏動画をご紹介します。
- 英国式ブラスバンド版(原曲・ノーカット)
- 吹奏楽版(ノーカット)
1. 英国式ブラスバンド版(原曲・ノーカット)
まず最初に、ブラスバンド版(原曲・ノーカット)の演奏をご紹介します。やはり原曲は聴いておきたいですよね。
ブラスバンド版の魅力は、やはり金管楽器の輝かしさと、金管特有の音色の柔らかさや温かさにあると思います。
演奏は、地元ベルギーのブラスバンド「Festival Brass Band」です。
2. 吹奏楽版(ノーカット)
2つ目に、吹奏楽版(ノーカット)の演奏をご紹介します。やはり、吹奏楽版についてもノーカット版を聴いておきたいですね。
吹奏楽版では、木管楽器が加わることで音符や音色にヴァリエーションが広がり、より豊かな音楽になっていると感じます(良し悪しの問題ではありませんので念のため)。
演奏は、「オランダ王国陸軍ヨハン・ヴィレム・フリソ軍楽隊(The Royal Netherlands Army Band ‘Johan Willem Friso’)」です。

ブラスバンド版と吹奏楽版とでは、思っていた以上に違いがあるんだね。
では、次に、編成とグレード(難易度)についてご紹介します。
編成とグレード(吹奏楽版)
<編成>(吹奏楽版)
Picc. / Fl.1-2 / Ob.1-2 / English Horn / Bsn.1-2 / Eb Cl. / Bb Cl.1-3 / A.Cl. / B.Cl. / Contrabass Cl.(Opt.) / S.Sax. / A.Sax.1-2 / T.Sax. / B.Sax. / Trp.1-3 / Cor.1-2 / Hrn.1-4 / Trb.1-2 / Bass Trb. / Euph.1-2 / Tuba / St.Bass / Timp. / Perc.1(Glock., Bass Marim., Vibra., Xylo., Tubular Bells) / Perc.2(Vibra., 4 Toms, B.D., W.Blocks, Tri.) / Perc.3(Tubular Bells, Bongos, Ride Cym., S.D., S.Cym.) / Perc.4(S.Cym., High Hat, C.Cym., Tubular Bells, B.D., Toms, Whip)
<グレード>
6(あくまで目安です)

グレード「6」というと、例えばC.T.スミスの『フェスティバル・ヴァリエーション』や『華麗なる舞曲』と同じくらいの難易度ということだね。

最も難しい部類に入るだけに、きっちり仕上げないと曲が成り立たないわね。やっぱり、この曲を採用しただけで評価されることはなさそうね。
楽譜・スコアのご紹介
楽譜・スコアはこちらからご購入いただけます。やはり、人気の輸入楽譜だけあって、結構なお値段がするんですね。
CDのご紹介
CDは、こちらの1枚をご紹介します。東京芸大ウインドオーケストラの演奏ということで安定感があることに加えて、アッペルモントの『ブリュッセル・レクイエム』のほか『ギルガメッシュ』も収録されていてお得感があるため、おすすめします。
いかがでしたか?

まっしー、またコンクールでの人気曲を取り上げて欲しいな。

そうね。皆さん、Twitterでまっしー(@massy_tp)をフォローいただいた方には、最新記事を更新した際にご案内しますね。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!