こんにちは。
管理人のまっしーです。
今回は、2019年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲Ⅲ『行進曲「春」』について、曲の概要や音源等についてご紹介していきます。
記事の後半では、複数の団体の演奏をご紹介していきますので、解釈の違いや表現方法の違いなどについても新たな気づきを得ることができればと思います。
では、まず最初に、この曲を知らない方のために、簡単に曲についてご説明します。
行進曲『春』ってどんな曲?
行進曲『春』は、吹奏楽連盟からの委嘱を受けて、福島弘和氏によって作曲されたコンサートマーチです。
福島氏によると、当初、連盟からの委嘱の契約書には「行進曲以外」と書かれていたものの、「例年の課題曲のマーチと言うと、4拍子のマーチが定型文の様になっており、普通の2拍子のマーチがあっても良いかなと思い、無理を言ってマーチを書かせていただいた」のだそうです。
そういった経緯で、2019年度の課題曲はマーチが3曲となっているんですね。
福島弘和氏といえば、既に過去に2曲の課題曲を作曲された実績をお持ちの方です(1998年課題曲Ⅱ「稲穂の波」、2000年課題曲Ⅰ「道祖神の詩」)。
また、その他にも、「ラッキードラゴン ~第五福竜丸の記憶~」や「シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」」を始めとする多くの作品が自由曲として演奏されています。言うまでもなく、実績も人気も十分に兼ね備わった作曲家さんでいらっしゃいます。
さて、話を行進曲「春」に戻しますが、私がこの曲を最初に聴いたとき、これまでの課題曲のマーチとはちょっと違う感じがするな、と思いました。古典的な行進曲の雰囲気が感じられ、かつてどこかで聞いたような、伝統的で格調の高い正統派のマーチのようだとも思いました。
福島弘和氏ご自身は、吹奏楽連盟の会報の中で次のように書かれています。
アメリカンスタイルやヨーロピアンスタイルなど、行進曲には、様々なスタイルがありますが、自分の書かせていただいたマーチは、今まで自分が聞いた中から好きな部分を足して足した分だけの数で割った様な、ハイブリッドなスタイルになったと思います。
全日本吹奏楽連盟会報「すいそうがく」 2018.12 No.209
表現が適切ではないかもしれませんが、いわば様々な行進曲のスタイルの「良いとこ取り」をしたマーチと言えるのかもしれません。それゆえ、多くの人がこの曲に共感し魅力を感じるのでしょうね。
それらの点は、ぜひ当記事の後半でご紹介している音源で実際にお聴きいただければと思います。
この曲の編成は?
編成は以下のとおりです。
いくつかの楽器がオプションになっている他、ホルン4thがなく、小物打楽器が少ないなど、小規模バンドにも対応した編成となっています。後ほど、小編成バージョンの演奏もご紹介します。
Picc. / Fl.1-2 / ※Ob. / ※Bsn. / ※Eb Cl. / Cl.1-3 / ※A.Cl. / B.Cl. / A.Sax.1-2 / T.Sax. / B.Sax. / Trp.1-3 / Hrn.1-3 / Trb.1-3 / Euph. / Tuba / ※St.Bass / Timp. / S.D. / B.D. / C.Cym. / S.Cym. / Tri. / Glock.
※の楽器はオプション
参考音源
それでは、演奏動画を5つご紹介します(うち1つは小編成バージョン)。
なお、これらの動画は、当該バンドの演奏方法を推奨する趣旨のものではありません。
また、演奏の良し悪し等の批評を行うことも目的としておりませんので、その点をご理解いただいた上でご覧いただければと思います。
① WISH Wind Orchestra【大編成(通常編成)Ver.】
まず最初は、プロによる演奏です↓。もはや吹奏楽経験者の方にはご説明不要の「WISH Wind Orchestra」による演奏です(指揮:甲斐 誠)。こちらは大編成(通常編成)バージョンです。
② WISH Wind Orchestra【小編成Ver.】
次は、同じく「WISH Wind Orchestra」による演奏ですが、こちらは小編成バージョンです。小編成なのに音の薄さを感じさせないのは、さすがはプロの演奏だと思います。
③ 尚美ウインドオーケストラ&シエナ・ウインド・オーケストラ コラボレーションバンド
3つ目は、プロと音大生のコラボによる演奏です↓。尚美ウインドオーケストラ&シエナ・ウインド・オーケストラ コラボレーションバンド(指揮:天野 正道)です。
④ 昭和音楽大学 昭和ウインド・シンフォニー
4つ目は、音大生等による演奏です↓。昭和音楽大学 昭和ウインド・シンフォニー(指揮:福本 信太郎)です。
⑤ 大阪桐蔭高校吹奏楽部
最後に、高校生による演奏↓です。言わずと知れた吹奏楽界の強豪校、大阪桐蔭高校吹奏楽部です。
他の課題曲の記事でも触れましたが、この演奏は4月に公開されたものです。
4月の時点でここまでの完成度まで仕上げているとは、さすが強豪校だと思います。
4月の時点の演奏動画を堂々とWEBで公開するあたりは、さすが大阪桐蔭高校ですね。敬意を表したいと思います。
なお、最後に、こちらは↓東京佼成ウインドオーケストラによるCDです。やはり昔からの名門プロ吹奏楽団の演奏が聴きたいという方には、こちらのCDをお勧めします。
いかがでしたか?
演奏団体によって、曲の解釈や表現方法も異なるし、それによって曲の雰囲気も異なりますよね。
さて、2019年の課題曲は、マーチが3曲ということで、きっと多くの団体が、この曲を含めマーチを選択されたことと思います。
一言でマーチといっても、3曲ともスタイルが異なるので、どの曲にしても難しさもある反面、楽しさもそれぞれありますよね。
もし宜しければ、他の課題曲の記事もご覧ください。
では、また次の記事でお会いしましょう!