こんにちは。管理人のまっしーです。
新型コロナウイルスの影響で吹奏楽の練習や演奏会活動に制約を受けている方も多いことと思いますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回ご紹介するのは、酒井格(さかい いたる)作曲の『たなばた(The Seventh Night of July)』です。吹奏楽経験者から絶大な人気を集める日本を代表する吹奏楽曲の1つです。

『たなばた』は、吹奏楽を始めたばかりの新入部員さんから超ベテランさんに至るまで、皆が楽しめる名曲なんだよね

そうね。七夕の夜の星空をイメージさせるロマンティックなメロディが印象的よね
《解説》『たなばた』とは
この曲の正式なタイトルは『The Seventh Night of July』ですが、一般的には『たなばた』の愛称で親しまれています。当ブログでも、以下『たなばた』と表記してご紹介します。
高校生による珠玉の作品!
『たなばた』が作曲されたのは1988年のことですが、驚くことに、その当時、作曲者の酒井格氏はまだ高校3年生の若者でした。
当時、酒井氏は大阪府立の高校で吹奏楽部に在籍し、アンサンブルの作曲やポップス曲の編曲などもこなしていたそうで、弱冠高校生にして既に作曲・編曲の才能を遺憾なく発揮されていたことがうかがえます。
高校卒業後は大阪音楽大学に進学し、在学中にオランダのデ・ハスケ社から『たなばた』の楽譜が出版されています。当サイトの後半では楽譜の入手方法についてもご紹介していますが、『たなばた』が意外にも輸入楽譜(もちろんデ・ハスケ社による出版)となっているのには、そのような背景があるようです。
『たなばた』の魅力とは
『たなばた』の魅力をいくつか挙げるとすれば、一度聴いたら忘れられない親しみある旋律やロマンティックなメロディ、そして星々を散りばめたようなきらきらとした輝きと駆け巡る疾走感、といったところでしょうか。
曲全体に高校生らしい若々しさやエネルギーが感じられる一方で、ときに高校生とは思えないくらい(と言っては失礼かもしれませんが)ロマンティックな雰囲気や、ところどころに計算された緻密さも感じられます。そんな多彩に揺れ動く音楽が、聴く人や演奏する人の心を掴むのでしょう。
『たなばた』の曲の流れ
スネアのリムショットで曲の幕を開けると、次に管楽器のゆっくりとしたメロディが始まります。まるで夜空に天の川がゆったりと流れるかのように。
しかし、その直後にアップテンポに切り替わります。
初めて聴いた人でも耳と心に残る印象的な主題です。このあとに続く金管・木管・弦打楽器のtuttiは、颯爽としていて、演奏する側にとっても、聴く側にとっても、心地よいものです。
時々、グロッケンの高音が響くのですが、まるで流れ星がキラッと輝く光景を表しているようで、効果的な使われ方が印象的です。まさに『七夕』という感じがします。
そしてロマンティックな中間部。中間部は、織姫と彦星が再会する場面として描かれています。Alto Saxが織姫、Euphoniumが彦星。二人の美しいソロが印象的です。
この曲のテーマはいかにも日本的な『たなばた』ですが、この曲は海外でも広く演奏されて高く評価されており、日本人に限らず海外の人の心にも響く魅力的な曲であることが分かります。
それではここで、おすすめの演奏動画をご紹介します。
プロによる演奏を聴きたい!
今回は、プロの吹奏楽団による『たなばた』の演奏を2つご紹介します。
どちらの演奏もそれぞれ特色があって魅力的です。
プロによる演奏①(Pro WiND 023)
最初にご紹介するのは、「PRO WiND 023」による演奏です。
さすがプロの演奏だなあ!と思える素敵な演奏です。

PRO WiND 023の演奏は、いつもすごく良いよね。山形にゆかりのあるプロ演奏家の皆さんです。

やっぱりプロの方々の演奏は上手だし、聴き惚れるわよね

スマホのスピーカーで聴くより、ヘッドホンやイヤホンで聴くのをおすすめするよ
プロによる演奏②(東京佼成WO)
次にご紹介するのは、「東京佼成ウインドオーケストラ」による演奏です。
やはり、プロの演奏といえば、伝統ある名門吹奏楽団「東京佼成ウインドオーケストラ」の演奏は気になりますよね。やっぱりプロの演奏はさすがです!
番外編:アンサンブルによる『TANABATA』
ここで、《番外編》として凄く魅力的なアンサンブルの演奏をご紹介します。
『Brass BReeZe』(金管5重奏+Drum Percussion)というアンサンブルグループによる演奏です。この演奏の何が凄いかというと、演奏者の実力や音楽性が優れていることはもちろんなのですが、たったの6人で吹奏楽版の『たなばた』の細部までを緻密に再現しているんです。
とにかくこの素晴らしい演奏をまずは実際に聴いてみてください。
Brass BReeZeによる『TANABATA』
編成と難易度(グレード)
さてここで、吹奏楽版の編成と難易度(グレード)についてご紹介しておきます。
グレードについては、以下のとおり「5」と少し難易度が高いのですが、個人的には「4」に近い「5」だと感じます。確かに、部分的には難しい場面もあるのですが、中学生でも十分演奏できる曲だと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
<編成>
Fl.1-2 / Fl.3/Picc. / Ob. / Bsn. / Eb Cl. / Bb Cl.1-3 / Eb A.Cl. / B.Cl. / A.Sax.1-2 / T.Sax. / B.Sax. / Trp.1-3 / Hrn.1-4 / Trb.1-3 / Euph. / Tuba / Timp. / Perc.1-5(Casta.、Glock.、Xylo.、Tri.、W.blocks、Tamb.、S.D.、Cym.、Whip、S.Cym.、B.D.)
<グレード>
5(あくまで目安です)
参考文献:ブレーン・オンライン・ショップHP
ソロのあるパートは?
主なソロパートは以下のとおりです。
ソロのほかにも、ソリやアンサンブルの部分も多数あり、多くのパートが楽しめるものと思います。

沢山のソロパートがあるけれど、僕はアルトサックスとユーフォニアムのソロが好きだな

アルトサックスのロマンチックなソロのメロディと、ユーフォニアムの対旋律が素敵よね

皆さんはどのソロが好きですか?
吹奏楽コンクールでの採用実績は?
幅広い世代から支持を集める人気の名曲ですが、コンクールでの演奏実績はどうなのでしょうか?
以下は、県大会における採用実績です(小中高大職場一般部門の合計)。
1994年に5団体が初めてコンクールで演奏し、2013年に33団体が演奏したのをピークに、その後は徐々に減少傾向にあります。
グレードが「5」と高い曲であるにもかかわらず中学の部での採用が多いのですが、高校や大学などの部門でも演奏されており、幅広く長く人気が続いていることが分かります。
⇒吹奏楽コンクールデータベース「Musica Bella」へのリンク
CDのご紹介
最後に、東京佼成ウインドオーケストラによるCDを1枚ご紹介します。
このCD↓は、『たなばた』に加えて、『アルヴァマー序曲』『フェスティバル・ヴァリエーション』『ディスコキッド』『風紋』などの名曲が計11曲も収録されていてお得感満載なので、とてもおすすめですよ。
東京佼成ウインドオーケストラの演奏については、Amazonで一曲購入もできます。
楽譜のご紹介
楽譜をご紹介しておきます。スコアのみでも購入可能です。
いかがでしたか?

やっぱり「たなばた」って名曲だよね。

そうよね。私はこの曲のキラキラとして駆け抜けるような感じがとっても好き
そうですよね。
「七夕」の星空みたいに、きらきらと輝くような演奏がしたいものです。
皆さんの『たなばた』が素敵な演奏になりますように。
では、また次回の記事でお会いしましょう!